魯迅の文学転向のきっかけ

魯迅

もともと医学を志していた魯迅が文学へ転向したのは、日本留学時代に見た日露戦争の記録フイルムがきっかけだった。

それはロシア軍のスパイとなった中国人が処刑される場面を映したものだったが、そこで魯迅が衝撃を受けたのは処刑そのものの残虐さではなく、同じ中国人が処刑されるのを周囲で笑って見物している中国人の姿だったという。そこに魯迅は中国人の絶望的なまでに封建的な精神構造を見たのである。

この時、肉体の病気より中国国民の精神の治療が先だと痛感した魯迅は、その後、『狂人日記』、『阿Q正伝』など当時としてはセンセーショナルな白話体(話し言葉)による小説を次々に発表。やがて精神を改造する医者としての文学者の道を歩むことになったのである。

 

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